当院は佐賀県医療計画において、佐賀県北部医療圏の高度急性期・急性期医療を担う中核施設として位置付けられており、第8次医療計画に掲げられた5疾病（がん、脳血管障害、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病、精神疾患）、6事業（救急医療、災害時医療、へき地医療、周産期医療、小児医療、在宅医療）に取り組んでいくこと、また地域の医療機関との連携をはかり、よりよい医療を目指していくことを基本方針としております。これらに対応する病院機能として、地域医療支援病院、地域がん診療連携拠点病院、地域救命救急センター、地域連携小児救急センター、第二種感染症指定医療機関、地域災害拠点病院、原子力災害拠点病院などの指定を受けております。以上を踏まえて、　当院は「安心な医療」　「あたたかい看護」　「地域への貢献」　の3つを基本理念に掲げ、佐賀県北部の地域医療の「最後の砦の病院」の自覚のもと、診療に取り組んでいます。

令和2年度に始まった新型コロナウイルス感染症に対して佐賀県北部医療圏唯一の感染症指定医療機関として、また佐賀県指定の新型コロナウイルス感染症重点医療機関として新型コロナウイルス感染症患者を受け入れました。入院患者として令和２年度98人、令和3年度562人、令和4年度886人、令和5年度344人と多数の新型コロナウイルス感染症の入院加療を実施しました。新型コロナウイルス感染症入院病床確保のため、一般病床の一部を休止し、新型コロナウイルス感染症病床を確保しました。これらの対応の中で、一般病床入院患者制限、予定手術の症例の入院・手術延期などの対応も必要となり、一般入院患者さんの減少を認め、また新型コロナ感染症入院は、DPC対象外で、出来高算定となる事もあり、新型コロナ発生前の令和元年度と比較し、DPC対象の退院患者数の減少を認めています。　新型コロナ感染症患者の入院対応数増加に伴って、令和元年度6848人、令和2年度6011人、令和3年度6250人、令和4年度5659人、令和5年度6636人と統計上、DPC対象退院患者数の減少を認めました。

年齢階級別退院患者数としては、平成29年度から地域連携小児救急医療センターを開設し小児救急一次・二次医療を展開しており、0歳から19歳までの患者さんが全体の約14.5％を占めており、周産期医療の充実もあり、全年齢層にわたった入院患者さんの年齢構成となっています。医療圏人口の高齢化に伴って、当院においても救急や脳血管障害、循環器急性期、がん医療等の幅広い医療を提供しており、これらの疾患の好発年齢である60歳以上の患者が全体の約68％を占めています。

5大癌（胃癌、大腸癌、乳癌、肺癌、肝癌）について、国際対がん連合（UICC）によって定められたTNM分類別の初発患者数を集計し、延患者数、期間内の再発患者（再発部位によらない）を示しています。TNM分類とは、がんがどのくらいの大きさになっているか（T）、周辺のリンパ節に転移しているか（N）、別の臓器への転移はあるか（M）、この３つの要素の組み合わせによって各がんを病期（ステージ）に分類したものです。Stageの数値が大きいほどがんが進行している状態です。

当院は、軽症から超重症まで幅広い市中肺炎の患者さんが入院されています。なかでも中等症から重症の患者さんが約89％と多く、70歳以上の重症高齢者が多い傾向にあり、平均在院日数も重症度が高くなるにつれて長くなっています。

脳梗塞につきましては、ほとんどが急性期であり、超急性期脳梗塞に対する血栓溶解療法・血管内治療が増加してきています。また、早期リハビリテーションを積極的に行い、機能予後改善に努めています。更なる治療成績と機能予後の改善を目指して治療技術の向上と救急隊や近隣医療機関との連携を深めてまいりたいと考えています。

手術・処置等の合併症の発生率については、「入院契機と医療資源を最も多く投入した傷病名が同一の場合」が多く占めており、入院時から重症の合併症を併発されていた症例が多かったと考えられます。
播種性血管内凝固症候群や敗血症は、重篤な基礎疾患に伴って発症することが多い疾患です。これらの症例は、入院時から重症の基礎疾患があり、合併した状態で入院されるケースが多いと考えられます。いずれも過去の傾向と同様の状況と考えられます。