令和元年度 唐津赤十字病院 病院指標

内科の診療体制は、消化器内科、血液内科、呼吸器内科、腫瘍内科、糖尿病内科、神経内科から構成されています。
循環器科、腎臓内科は独立しており別統計となっています。内科の令和元年度の退院数は２１６９件で、院内で最も多く、全体の約３割を占めています。内科で疾病別の上位は大腸ポリープ：内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術の実施症例、悪性リンパ腫、胆管疾患（胆石、胆管炎、胆道腫瘍など）、肺の悪性腫瘍、間質性肺炎など、当院が担う専門的治療を必要とする疾患群が上位を占めています。消化器内科では、内視鏡的治療対象疾患、血液・呼吸器内科では化学療法・分子標的薬などの専門的薬物療法を必要とする疾患群です。

当院は地域がん診療連携拠点病院に指定されており、特に外科はその中心的な役割を担っています。悪性腫瘍の手術療法、薬物療法を中心に消化器救急疾患にも対応しています。

当院県内唯一の院内併設型の小児急患センターを有しており、小児科は佐賀東部地区の二次医療機関として外来・入院共に積極的に受け入れ治療を行う体制をとっております。
昨年の実績は、外来患者数8960名・入院患者数は941名となっており、病院移転後年々増加傾向となっています。
外来については、基本的に全ての領域の患者さんを受け入れており、その上でより専門的な診療が必要な患者さんについては近隣の高次医療機関（佐賀大学附属病院・NHO佐賀病院・佐賀県医療センター好生館・九州大学病院・福岡市立こども病院等）へ紹介するようにしております。一方、入院についても新生児を含めて基本広く受け入れるようにしていますが、専門性の高い治療が必要な症例については、外来同様高次医療機関への転院・搬送をしております。
但し、入院患者さんのうち転院となった症例は昨年21例であり、大部分は当院で対応できております。
入院診療の半数は上記のように感染症で占められており、疾患の流行状況で入院数は大きく変動しますが、病院全体のベッドコントロールにより極力受け入れるような体制となっています。近年の入院患者傾向としては、先述の感染の患者に比べて検査入院を含めた各スタッフの専門領域の入院が増えつつある傾向です。
新生児医療については、佐賀東部地区では新生児入院管理を行っている唯一の施設であるため、可能な限り院内・院外出生共に対応するように努めております。

大腿骨近位部骨折、下肢の変形性関節症など、高齢者の患者様を多く診療しています。

循環器内科では、急性心筋梗塞、狭心症、心不全、不整脈、大動脈疾患などの心臓や血管の病気の診療を行っています。入院患者さんでは、狭心症、心筋梗塞といった虚血性心臓病、心不全、除脈性不整脈の患者が多く占めています。これらの患者のうち安定狭心症以外の方は急性発症のことが多く、夜間休日の方も少なくありません。そのため循環器内科では、オンコールで緊急の処置が必要な方の対応ができるように体制を整えています。

救急症例が大半を占めており重症度も高い傾向にあります。特に脳卒中患者においては転院率が高い状態で推移しており、
今後リハビリテーションや院内外の関係各部署と連携を更に強化することで自宅退院数の増加を目標にしています。

眼科では、主に白内障の手術を行っています。以前行っていた緑内障や硝子体手術等に関しては、現在は行っておらず大学病院へご紹介しています。

当院の所属する唐津・東松浦地区では、産婦人科診療施設は役割分担がされており、 当院においては、産科領域ではハイリスク妊娠の妊娠/分娩管理を、婦人科領域においては、主に良性腫瘍を対象とした手術を行っています。
緊急を要する帝王切開術を目的とした紹介症例が多数あります。

泌尿器科は前立腺がん疑いの検査では、前立腺生検の患者が多く占めています。
他、尿管、腎結石、膀胱（良性・悪性）腫瘍、腎の悪性腫瘍等の尿路系疾患の診療を行っています。

救急医学科では、重症の急性期疾患、外傷の全般の初期治療にあたり、専門的な治療を行っています。
また、ドクターヘリも対応しています。心肺停止の救急搬送や重症外傷なども多くの患者の治療を行っています。

当院は、当地区における腎不全患者に対応できる総合病院であり重症な患者を積極的に受け入れています。
特に末期腎不全の場合は、腎不全評価、緊急透析、シャント造設、さらにはリハビリを行い在院日数は長くはなりますが、かかりつけ医と連携し在宅復帰を目指して治療を行っています。

皮膚科では、皮膚腫瘍の手術を積極的に行っています。皮膚膿瘍の切開、デブリドマン、術後の皮膚潰瘍の植皮にも対応しています。また帯状疱疹など皮膚科一般の診療も行っています。

形成外科は、先天的あるいは後天的な身体外表面の疾患に対し機能的改善のみならず整容面にも配慮した治療を行っています。
扱う疾患は幅広く他科領域に関連するものも多くあるため、必要に応じ連携しながら治療を行っています。

外科では今年度は胆のう摘手術が１位で続いて内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除が多い理由は、消化器がんの術前検査や術後経過観察で定期的に施行されるからです。
悪性腫瘍から救急疾患まで幅広い手術に対応しています。

大腿骨近位部骨折を始めとした外傷関連の手術を多く行っています。

内科の手術症例は、大腸腺腫やポリープの内視鏡的粘膜切除術（ＥＭＲ）が一番多く、早期胃・大腸がんに対する内視鏡的
治療も行っています。多くはクリニカルパスの運用しています。

当院では、最も多い手術症例は、白内障に対する手術になります。

産婦人科の手術件数としては、帝王切開術が上位を占め、選択的及び緊急を合わせると一番多くなります。
子宮頚部の異形成～上皮内癌までを主な適応とする円錐切除術も多く、在院日数も短くなっております。
その他、子宮筋腫等の良性疾患に対する子宮全摘術、良性卵巣腫瘍に対する腹腔鏡下手術も行っております。

循環器が行う観血的処置（手術）は、経皮的カテーテルインターベンションとペースメーカー植え込み術があります。
前者は狭心症、心筋梗塞といった虚血性心臓病に行う治療で多くの場合は、ステントを冠動脈内に留置します。
後者には、皮下に植え込みペースメーカー移植術と一時的に留置する体外ペースメーキング、急性心筋梗塞に対するインターベンションと一時ペースメーキングは緊急で行うことがほとんどで、循環器内科ではオンコール体制で夜間、休日もその対応にあたっています。

泌尿器科の手術は、今年度は1位は尿管結石に対する経尿道的尿路結石除去術が多い症例になります。2位は膀胱がんの手術で、2018年度より腹腔鏡下腎（尿管）悪性腫瘍切除術も行っています。他の領域の手術（腎瘻造設術・尿管ステント）等も行っています。

手術総数に対する血管内治療の占める割合が増加傾向にあり、特に虚血性脳血管障害に対する血管内治療の件数が顕著に増加しています。

形成外科の手術は体表面の疾患、特に形態に関するものを中心に乳房再建をはじめ眼瞼下垂等の眼瞼・顔面に関する手術から皮膚皮下腫瘍の摘出手術・外傷・皮膚潰瘍や皮膚欠損創の閉鎖手術・瘢痕拘縮や変形の修正手術に至るまで幅広く行っています。

腎臓内科の主な手術症例は、透析のための内シャント設置術と人工血管移植術です。
経皮的シャント拡張術は、ほとんどの場合外来治療となります。
それ以外の手術は、透析患者のため腎内科入院となり各専門科で手術を行ったものです。

皮膚科では、皮膚・皮下腫瘍摘出術、皮膚悪性腫瘍切除術、皮膚切開術、デブリドマン、植皮術など幅広く手術を行っており、形成外科と連携して局所皮弁術を行うこともあります。

小児科の手術は外科的手術はありませんが、腸重積の整復術が数件あります。また、新生児仮死の蘇生術も対応しています。